インフラサウンド津波センシング

陸上で津波を検出
洋上、海中による津波検出に比べ、低コスト
津波全体のパワーを検出(津波マグニチュード)
 
インフラサウンドとは、人間の可聴域(20 Hz~20 kHz)より、低い周波数(1mHz~100 Hz)の音波のことで、地球物理に関する様々な状態を把握出来ます。代表的なものとして、津波・火山噴火・地震・土砂崩れ・隕石や人工衛星の大気圏突入・各種人工騒音(風力発電・爆発音・核実験等)などが挙げられます。周波数は低いほど遠くまで減衰せずに届く性質があるため、インフラサウンドを用いれば遥か彼方で生じている現象を把握することができます。オーディオ用のマイクロホンで扱える最低周波数は20Hz程度までなので、インフラサウンドを調べるには専用のセンサーが必要となります。20Hzの波長は17m程度ですが、1mHz=0.001Hzは340Kmもの波長があるので、このような波長を効率よく捉えるには、マイクロホンとは原理の異なるセンサが必要になるのです。

 
音は言い換えると気圧変化ですからインフラサウンドのような低周波は気圧計で捉えることができそうです。しかし気圧計が扱う測定レンジはKPa(キロパスカル)レベル、インフラサウンドセンサで検出したい圧力偏移は、最大10Pa(パスカル)以上、最小1mPa以下(ミルパスカル)と微小です。この観点でも専用のセンサーが必要となります。

   

津波は巨大スピーカー

津波は数Km~数百Kmもの大きさの巨大なスピーカーと同じで、空気を振動させ、大音量のインフラサウンドを発生させますが、周波数は大変低く、人間の耳では捉えることが出来ません。3.11の時には、1000Km先の計測拠点でも、30Paものインフラサウンドが確認されていますが、これは音圧で言うと125dBにも達し人間の耳が耐えられる最大音圧を超えるほどの爆音です。そこで、このインフラサウンドを使った津波センサーを作れば、従来の、洋上のGPS波浪計や、海底の精密水圧計を使った大掛かりな津波計測に比べ、より簡単で安価に津波が計測でき、防災にも役立つだろうと考えました。

 


 


海中や洋上設置の場合、 過酷環境に設置されるので、 設置~保全のコストが高い。 信頼性の確保でもハードルが高く、 破損しても簡単に交換もできない。
 


 

津波のみに反応

巨大津波が発する インフラサウンドは、周波数が極めて低く遠方まで伝達する性質があります。インフラサウンドは、津波以外の自然現象でも発生しますが、本システムでは㈱サヤの特許技術(特許番号5660586号)により海溝型地震に伴う巨大津波のみを検出し、他のインフラサウンドには反応しません。
 

開口合成

本システムでは、前記、特許技術に加え、複数のインフラサウンドセンサーの波形を、時間的にずらして合成することで、特定の指向性を得る仕組みになっています。


 

仕組み

複数のインフラサウンドセンサー計測拠点、センサーデータをアップするFTPサーバー、サーバーデータを集約する、PC用の開口合成~津波検知ソフトウェアで構成されます。このソフトウェアは、現時点では試験的に最大8アレイモデルまで完成しています。


 

本システムは、高知工科大学との共同研究中で、研究途上のものです。絶対的な津波検出を保証するものではありません。
 
本システムは、沿岸の海溝型地震に伴う、巨大津波のみをセンシング対象にしています。それ以外の津波は検出できません。
 
仕様、各種ドキュメントについては弊社までお問い合わせください。